ポイント・オブ・ノーリターン

明日、退職の話をしてこようと思っている。

以前考えていた通り、4月末まで仕事をして5月は有給消化。GWの途中からサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指すつもりだ。

部署異動後の体制表というものが出回り始めていて、僕は今やっている他人のケツ叩きとケツ吹き業務を継続することになっている。

上司にはどこぞの人間が来るようだが、業務未経験者らしい。もう一つ上の上司からは僕から教育紛いのことをしてやって欲しいなどということを言われていて、まっぴらごめんだぜ、と今から辟易している。一緒になって「良く分かりませんねえ……」などと言いながら平和に過ごしたい。

業務上関わりのある連中には近日部署異動の連絡をしなければならないが、またすぐあとに退職の連絡までするのか。めんどくせえな。などと思いつつ、リアクションがあまりにも薄かったりしたらそれはそれで物足りない気分になったりするのかもしれない。

仕事にやりがいや誇りを感じたことなど無い僕であるが、それでも「これまで頑張ってきたというのに」というようなことを思って、退職の意を表したあとの己へ向けられる賛辞や惜別の言葉を欲するさもしい感情を抱いたりするのだろうか。

ともあれ、次の仕事も見つけずただ仕事を辞めるという振る舞いは、30を超えたおっさんの行動としてさぞ異常に思われることだろう。

しかし、人は皆所詮迷える子羊だ。羊飼いの振るう杖に導かれるまま、東へ西へ、時に羊飼いの杖が誤って指し示す奈落の谷底へ盲目的に従い転がり落ちていく。羊飼いだって、より上位の何者かに使役される同じく哀れな存在に他ならない。そんな構造が気に食わなくて群れからはぐれる羊がいたって仕方がないと思わないか？

一昨年あたりまで直属の上司だった人が、2年連続で昇進してかなり偉くなるという話があったのだが、いつの間にかその話が無かったことになっていた。そして、本人はもう2週間近く会社に来ていない。

あちこちで聞く噂話をまとめると、要領が良い（あるいは強引な）人間による雑な社内政治の巻き添えを食った形らしい。彼はちょっとサイコ野郎の気質はあるが異常に真面目で心の優しい人間であった。そういった人間が割を食う、割を食わせることが出来る環境なのを確認して、改めて厭になってしまった。

さて、どうやって切り出すかな。