Cork

木灘日記

日記を書きます。

羊飼いの杖

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やはりこの仕事、責任の所在が不明確なことのなんと多いことよ。

関係する人々で敢えて自ら手を挙げて音頭を取ろうという者はなく、皆揃って目を背けるばかり。自分がやらなければならないことでない限りは一切何もしない。自分の手元にさえ来なければ催促もしない。自分のやることが終わればそれきりで次にバトンを渡しもしない。緊急の案件であることが明らかであろうと、直接言われなければ敢えて急ぐこともしない。こんな人間ばかりの会社が良く成立してるもんだなあと、心底感心してしまう。

僕の仕事はそういった連中を幾つも経由しなければ完結しない事柄において、連中を半ば強制的に繋いでバケツリレーをさせるようなことをしている。自らも奴隷でありながら、奴隷たちを鎖で繋いで行進させているような、もしくは放っておくとあっという間に霧散する羊の群れを操る羊飼いの杖か。いずれにせよ禄でもない役割。

まずはゴール地点を全員に指し示し、そこに至るまでのハードルの数と高さを一つずつ挙げた内容を関係者へ一斉連絡する。二人以上でゴールを目指すとき、そのゴールがどこなのか、認識を共有することは重要だ。

関係する人間が多ければ多いほど、一人々々の責任感(厭な言葉だなあ)は薄くなっていくし、分業が進んでいるほど、ゴールまでの道のりにおいて自分がどこに位置するのか分からなくなる。自分以外の担当が何をしているのか、どんな課題を抱えているのか、それを知ることで相対的な自分の位置を自覚させなければならない。そこの相互理解が足りなければ不平不満や油断の素となり、どこかで誰かの怠慢に繋がってしまう。

ゴールを明確にしたあとは、次にそれぞれが個別にやるべきことの明確化と目標スケジュールを指定していく。僕の手元に話が来た時点で既にスケジュールは困窮極まるような状態であることが多いので、ほとんどは日割り、酷い時には時間割で指示を行うことになるのだが。

今日は今週初めにギリギリのスケジュールを組んだ締め切りの案件が一昨日僕が休んだことで崩壊していた。もうあとは適当に自動操縦でいけるだろうと思っていたが、甘かった。

というわけで僕は今日残業をすることになったのだった。待ちの時間が長いので、この日記の下書きなぞ書いている。今は18時。そういえば今朝のニュースで寒波再来というようなことを言っていたんじゃなかったか。窓から見える灰色の風景のなかで寒々しく旗が揺れているのを眺めながら、連絡を待っている。