Cork

木灘日記

日記を書きます。

消防設備点検がこなくて、冬

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今朝は消防設備点検がやってくるはずなので早起きして待機しているのだが、業者が、来ない。

土曜日の朝に自宅待機せよ、という要請は人によっては気に食わないこともあるのだろうが、僕は特に用事もないので、でびリオンのMinecraft配信を見ながら待っている。

でびリオンとはVTuberであるところのでびでび・でびると鷹宮リオンによるコラボ配信である。頻出する罵倒やdisの応酬、相手のミスに対する冷やかしなどに気の置けない仲の良さが滲み出ており、小学生が友達の家に集まってだらだらとゲームを遊んでいるような趣があって大変良いと僕の中で大変な好評を博している。見てくれ。

動画に夢中になっていたら、気が付くと11時をすでに回っている。はて、もしや点検は今日ではなかったかと親の京都土産である舞妓マグネット(どういうセレクトだよ)によって冷蔵庫の扉に貼り付けにされた告知チラシを見てみると、やはり今日である。そして僕の住む部屋には9:30~10:30のあいだで実施するとも書かれている。しつこいが、時刻は既に11時を過ぎている。

用事もなく、むしろ根っからの出不精且つ引き篭もり気質である僕は、休日において外に出なければという強迫観念と家から出たくないという相反する感情の狭間でいつも煩悶する。

そこに自宅に居なければならない口実があると逆にちょっと気分が晴れやかになるくらいで、その精神は本当にどうなんだと自分で思わなくもないが、今回の点検についても前向きに捉えているところであった。が、さすがに予告された時間を過ぎて音沙汰がないのは気味が悪い。

9:00を過ぎたくらいから時々マンションのあちこちから火災報知器の音や避難はしごを操作するような音が聞こえてくるので、業者が点検に回っているのは間違いなさそうだが、どれだけ待っても僕の部屋のチャイムは鳴らない。

チラシをもう一度読み返す。「入居者の皆様の安全確保に欠かせない点検ですので、よろしくご協力をお願い致します」とある。なるほど。安全を確保してやるほどの価値を認められていないのか。もしくは、ひょっとすると、僕はこのマンションの入居者ではなかった……? 自分のことを住人だと思いこんでいる不法居住者、という恐ろしいワードが脳裏をよぎる。

お問い合わせ先、と書かれた番号に電話をしてみようか。これを書いているあいだに全点検が完了する予定の11:30が近づいてきている。


と、いうところでチャイムが鳴ったのでここからは業者が帰ったあとに書いている。


点検業者だ! おせえ! 特に遅延の詫びもなくしれっと現れたものだから「時間がちょっと違うみたいですが」とつい嫌味を言ってしまう。「いえ、朝一で二度ほどチャイムを押させて頂いたんですが……」と言うので「起きてたんですが、鳴ってないですね」と答えつつ、点検を任せた。

業者に点検を任せながら、僕は認識の齟齬について考えた。普通に考えて業者側が嘘を吐く利点はほとんど無いように思われる。9:00あたりから点検作業の音は聞こえてきていたから、遅刻ということもないだろう。だとすれば、恐らくは僕が本当に気付かなかったのだ。しかし一体、なぜ。

首を傾げつつ、きっと僕の方に落ち度があったのだろうと思い、点検を終えた業者に丁寧に礼を述べた。帰り際、業者が「ひょっとしてチャイムが壊れてるのかもしれませんね」と言った。僕の住むマンションの1Fは猫の額ほどのエントランスがあり、訪問者はそこでインターホンを鳴らして相手にオートロックを開けてもらい、それから各部屋の扉のチャイムを押すという二段構えになっているのだ。

今しがた業者が来訪を知らせたのはエントランスからだったが、朝一の訪問時は扉のチャイムを押したのだという。よって、扉側のチャイムが故障しているのでは、という推理が成り立つ。なるほど、そういうことなら納得だし両者瑕疵なく円満解決であ……

「ピンポーン♪」

壊れてねえ! すみませんでした!! 業者には謝りつつ再度礼を述べて帰ってもらった。

んで、ここまで書きながらも考えていて、遂に思い当たる節があった。僕は9:00頃から洗濯機を回し始めたのだ。そして洗濯機と生活スペースを仕切る扉を締め切り、大音量ででびリオンの動画を観ていた。きっとその二重の騒音にチャイムの音は掻き消されてしまったのだろう。さらに伏線としてつい先日、就眠中にチャイムが大音量で鳴ったのに腹を立ててチャイムの音量を下げていた。なるほど、万事解決だ。

ついでにここまでの推理でもう一つ明らかになったことがある。洗濯機の中に、三時間近く放置された洗濯物が入ったままだ。