Cork

木灘日記

日記を書きます。

美しく生きたい

久々に姉と電話で話をした。正確にはビデオ電話。僕はメッセージカードでことを済ませたつもりだったのだが、律儀に電話を掛けてきてくれたのだった。

通話が繋がったとき、姉は子供2人をベッドで寝かしつけている最中だった。携帯の画面には最初、今日小学校の入学式を迎えた甥が映っていて、入学祝いの礼を僕に述べた。「アマゾンギフトカード、ありがとう」と、決められた台詞を読み上げたような口調で、つい笑ってしまった。

どうやら姉は母親づてに僕が仕事を辞めてサンティアゴ巡礼へ行こうとしていることを聞いたらしい。姉は真面目な人間だから、僕が今の年齢で仕事を辞めて次も決めずに海外へ逃避行しようとしていることについて内心快く思っていないだろう。子供がいなければ色々と聞きたかっただろうと思う。

僕が、ただ死んでいないだけの状態をこれからもずっと続けるくらいなら死んだほうがマシだと考えていることについて、恐らく家族の誰からも同意は得られないだろうと思う。そんな風に思いつめるのは僕の見識が狭いためだと言われるかもしれない。貧しく平凡で起伏のない人生であっても、生きているだけでそれは幸せなことであるし、生きてさえいればいつか何か良いことがあるかもしれないと、そう言われるかもしれない。

しかし、僕はまだ心のどこかで自分の人生に美しいなにかを見つけることが出来るんじゃないかと、ほんの少しだけ期待しているのだ。その見込は年々薄らいでいくばかりなのだが。まだ、後少しだけ。

ああ、くそ、美しく生きていきたいものだなあ。