Cork

木灘日記

日記を書きます。

最近は形として残るものも悪くないと思うようになった

同僚から旅行土産を貰った。

彼は男一人、車で福井県へ行ってきたのだという。目的は蟹を食うことである。僕は単純に良いなと思ったが、本人はどうも男一人で蟹を食いに旅行へ出かけるというシチュエーションを客観視して、自嘲的な楽しみを感じているようだった。

一人で宿泊できる旅館で且つ夕食に蟹の甲羅焼きが出ないところには泊まらないつもりだと息まき、宿探しをしていた。そして無事に宿は見つかり、蟹を食い、漁港を覗き、恐竜博物館を訪ねたりなどしたという。

そんな彼から貰った土産物が入った袋はずっしりとしている。中身を想像してみる。福井県、一体何があるのだろうか。これまで福井県に意識を向けたことがないことに気がつく。わからねえ。越前ガニくらいしか知らない。日本地図に占める位置も、その形状も記憶に怪しい。蟹の他にご当地グルメというものがあるだろうと検索すると、ボルガライスとかいう未知の名称の食い物が表示された。

概要はオムライスにカツを載せたものであるらしい。心に一陣の寒風が吹く。それぞれ単体で成立するものを一つの皿に載せただけで、さも新しいメニューのように名前を付け、そしてご当地グルメとして大々的に売り出しているとは。余程名物と呼べるようなものがないであろうと神妙な気持ちになった。

袋を開けると、羊羹のセットがごろりと出てきた。重量感の理由はこれか。10cmくらいの棒状の羊羹が何本も入っている。ノーマルと栗と抹茶と黒糖と和三宝と……あとなんだっけな。忘れてしまった。

そしてもう一つ、越前焼と書かれた袋が入っている。開けると、こんなものが転がり出てきた。会社に置いてきたので、画像はネットで拾ってきた同じやつ。

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越前焼の箸置きだという。コメントは特に無い。

僕は人に土産は何が良いか、と聞かれると「菓子などは要らないから現地で買えるくだらない置物が欲しい」と言うようにしている。そして会社のデスクには小さな木彫りの熊と、馬とも鳥とも知れない謎の陶器製の笛と、こいつが並んでいる。

しかし、コメントは無いと言いつつも、これはお前流石にちょっと狙ってきたな、と思ってしまうよな。