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木灘日記

日記を書きます。

なに捕まってんだよ

ピエール瀧容疑者、コカイン使用疑いで逮捕 容疑認める - 毎日新聞


ピエール瀧の件についてはまったく驚きの感情は起こらなかった。むしろ麻薬で捕まったと知って最初に思ったのは「なに捕まってんだよ」だ。

他人が過ちを犯すことについて「なぜ」とは思わない。他人の行動に「なぜ」と思う人間は、自分の常識外のことを想像出来ないか、自分が相手を幾らかでも理解しているという勘違いを持っているからに他ならないからだ。人間は永遠に分かり合えない。相互理解なぞ幻想で、人間はそれぞれの持つ社会性によって互いの幻想を許容し、演じているに過ぎない。

当たり前のように普段から接していた相手がある日突然自殺したり、人を殺したりするかもしれない。でも、それが一体なんだっていうんだ? 芸能人だとか一般人だとか知り合いだとか家族だとか、一切関係ない。他人の行いに「なぜ」と問うことに意味などないというのに。

なので、ピエール瀧の逮捕に関しても疑問や驚きはなく、「なに捕まってんだよ」という感想だった。瀧が何をしてたって僕には関係ない。けれど、彼の芸能人としての活躍(特にここ近年での俳優業)は素晴らしいものがあった。

芸能人が犯罪で捕まることで、関連するあらゆるコンテンツが配信停止や公開中止になる風潮は心底馬鹿らしいと思っているが、それでも今この世界の在り方はそうなっている。だから、なんでこんな下手を打つんだ馬鹿、と思う。惜しい。

ピエール瀧というか電気グルーヴに関する最古の記憶は20年以上前のことで、カーステレオから流れる「Shangri-La」だ。曲名は後になって知った。上の姉が電気グルーヴのCDを何枚か持っていたはずだが、その時流れたのがCD音源だったのかラジオだったのかは定かではない。

母親と姉二人と僕と、4人で母親の運転する赤い軽自動車でどこかへ出かける最中に流れるのを聴いて、ふわふわと良い気分になる曲だなと思った。今の語彙で表現するならたぶん、ラグジュアリー感とかその辺だろうか。

高速道路へ向かって螺旋状に上方へ続く道。母親はハンドルを大きく切りながらアクセルを踏み続ける。遠心力を受けて、後部座席に座る僕と下の姉の身体が大きく左右に揺れる。カーステレオから流れる曲名も知らないゴキゲンな曲。助手席に座った姉の鼻歌。悪くない思い出。