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木灘日記

日記を書きます。

本籍って何なんだろうな

 

deepweather.hatenablog.jp


えーと、その、なんだ。昨日、戸籍を取りに役所に行くと言って、実際に今日は朝7時に起きて準備万端だったわけだが……。なんか、僕、本籍が今住んでるところじゃなかったわ。

僕の本籍は県外の父方の実家になっているのだ。完全に忘れていた。

役所は開庁時間直後に行ったのに既に10人くらい様々な手続きに人が集まっていて、僕は彼らになんとなく仲間意識のようなものまで抱いていた。男女が手に手を取りながら転入届を出しに来ているのを見ながら「この街は結構悪くないぜ」などと思っていたというのに。こんな間抜けがいるのだろうか。はい、ここにいます。どうぞ皆様ご笑覧あれ。この男こそ己の戸籍がどこに存在するのかも知らない分際で海外へ出ようとする無謀な社会不適合者でございます。

案内員のおばちゃんに用紙の書き方を教えてもらって、窓口のちょっと肌の荒れた男性職員に申請書を出しながら「本籍はこちらですか?」という確認に対して「そうです」と確信を持って答えたというのに。数分後に窓口へ呼び出されて、案外早く出るものだなと思っていたら、「こちらの住所で本籍が登録されていないようです」と。

正直、さっき窓口で「そうです」と答えた直後に嫌な予感はしていたのだ。何の為だか忘れたが、もうずっと前、一度だけ郵送で父方の実家の役所から戸籍だか何だかの証明書を取り寄せたことがあったような、朧げな記憶が蘇ってきた。

そして僕は窓口の職員から気の毒そうな、または憐れむような視線を背に受けながら、すごすごと役所を出た。

それにしても本籍とは一体何なのだろう。生まれた場所でもなく、住んでいる場所でも、住んだこともない遠く離れた土地。そこの役所に僕が一体何者であるのかを公的に証明する書類が眠っているのだ。

それから母親に連絡を取り、請求先の役所を教えて貰ったのだが、今度は発行手数料を支払うための定額小為替とかいうものを手に入れなければならなくなった。そしてこれが土日はどうひっくり返っても入手不可能なアイテムであることが分かったのである。

僕は本来、こうしたあらゆる手続きが死ぬほど苦手なのだ。送られてきた紙に名前や住所をちょっと書いて印鑑を押してそれを返送する、それくらいのことも億劫で仕方なく限界まで放置してしまう人間である。

もう色々なものが心底厭になってしまって、パスポートも諦めてやろうかとも思った。しかし、今回は諦めると色々と取り返しがつかないことになりそうなので、もう少しだけ頑張ることにした。

そう、頑張らなければ僕のような社会不適合者にはこの程度のことも出来ないのだ。

郵送申請用の用紙を準備して、出社時間を少し遅めに都合して郵便局へ定額小為替を買いに行き、郵送用と返送用の封筒、そして82円切手を二枚買って、2つの封筒に切手を貼り、郵送用には相手の、返送用には自分の住所を書き込んで……。

文字に起こせばこれくらいのことだが、僕の脳はこの程度の手続きにも相当メモリを圧迫されている実感がある。なぜ僕の脳はこんな風なのだろうか。強いて言うのなら「気が乗らない」のだが、その度合が異常だ。気が乗らないことを実行するのにとてつもない精神力を必要とする。

恐らく、これは発達障害と呼ばれるものの症状の一つであるように思われるのだが、素人診断で適当なことを言うべきではないので、これ以上は特に触れずにおく。しかし、この精神的な苦痛を誰もが味わっているようには思えないんだよな。いや、それこそ他人の苦しみなんぞ他人からは何も分からないか。世の中、分からないことだらけだな。

まあいい、朝から色々と走り回って大幅なマイナス地点にいたところからようやくスタートラインについたのだ。そして夕方には『若おかみは小学生!』が届いた。悪くない日だと思うとしよう。